2020-04-24

■ロールキャベツは苦手→作り方を変えてみよう

私も夫もロールキャベツは苦手で、家で作ったこともありませんでした。

「ベーコンは好き。でも煮込んでスープにすると味も香りも台なし!」
「肝心のキャベツや中の詰め物も、スープに旨みが溶け出してない?」

というのがその理由。

でもあるとき、美しきCavolo Verza(ちりめんキャベツ)を入手して何を作ろうかなと考えていて、「ニガテ意識を覆し、むしろ好物になるおいしいロールキャベツを作ってみよう!」と思ったのです。

ニガテ克服の鍵は、
1)イタリアのレシピを参考に詰め物を改良する!
2)煮込まずにオーブンで焼く!

この2点のおかげで、劇的にうんまいレシピが完成することになるのです。

完成したレシピはこちらからどうぞ!

■詰め物のポイントは豚肉とバスマティライス

詳しい作り方はレシピをご覧いただくとして。
とにかく独特なのは、中に詰めるものです。

今回は、「イタリア料理を参考に」と決めていたので、詰め物にはお肉だけでなくお米も混ぜています。
おいしいリゾットを作ってキャベツでくるむイメージです。

そしてお米の種類がこれたま重要。
ジャポニカ米ではなくイタリアの米に近いバスマティを使用しましたが、これが、いやもう圧倒的に、大・正・解!

このレシピのポイントはバスマティライスにあり!といってもいいくらいです。

ジャポニカ米が和食に欠かせないのは言うまでもありません。
お米だけで味わうと「日本の米って最高!」といつも思うのですが、リゾットにするにはやっぱりイタリアのRisoがベスト。
食感や味わいがまるで違います。

でもイタリアのお米を日本で買うとどうしても高くつくんですよね。

そこで、バスマティライスです。
イタリアでもバスマティライスは普通に売られていますし、性質的に似ています。

※バスマティは新大久保の「ナスコフードコート」なら1kg 500円程度!
ナショナル麻布でも売っていますしもちろんネットでも買えます。

バスマティが入手できないときはジャスミンライスでも代用可ですが、バスマティはインドカレーのお供にはもちろん、炒飯やリゾットにも抜群なので、ぜひ入手してみてください!

※バスマティライスについては別の記事でもご紹介予定です。
そのくらいおすすめしたい米なので、ホントに一度試してみていただきたい!

ロールキャベツは「焼き」に限ります!

そんなわけで完成した新型ロールキャベツ。

本当~~においしいので、ぜひぜひ作ってみてください!

レシピはこちらからどうぞ!

2020-01-20

■白い迷宮チステルニーノのお肉屋さん

イタリア南部・プーリア州には、白い迷宮のような素敵な街がたくさんあります。

たとえばここは、チステルニーノ。世界遺産のアルベロベッロからほど近い街ですが、あまり観光地化されていないのもここの魅力です。

どこを歩いても心浮き立つような、本当に素敵なかわいらしい街なのですが、じつはここ、“肉の街”でもあります。小さな街の中にお肉屋さんがいっぱい! その中のひとつに行ってみましょう。

■サルシッチャもボンベッテも、猪ラグーも絶品!

お肉屋さんはロスティッチェリア(あぶり焼き肉屋?)も兼ねていて、店頭で好きなお肉を選ぶと、それを店内で提供してくれます。

炙り焼きは炭火で焼くのが基本。肉の余分な脂肪を焼き落としながら香ばしくジューシーに仕上げてあります。香りも最高。ぐるぐる巻きのサルシッチャもボンベッテ(肉を肉で巻いた肉爆弾!この辺りの名物です)もおいしかったのなんの。とくにここのサルシッチャはすっごくおいしくて、たまりませんでしたっ!

そして、このお店のOrecchiette al Ragu di Cinghiale、オレキエッテの猪ラグーもとてもとてもおいしかったんです。

ゴロゴロ牛肉のラグーソース、レシピはこちらから!

■ラグーソースは牛・豚・猪・ウサギ・・・何でもあり!

フランス語のラグー ragoutは「煮込む」という意味。英語でいえばstew(シチュー)です。肉や魚などの食材をコトコト煮込んでつくればすべてラグー。ゴロッと贅沢に肉を味わう「牛ほほ肉の赤ワイン煮込み」などもragoutです。

イタリアのraguも語源は同じ。ですが、こっちはパスタにかけるソースを指します。

ラグーは牛肉や豚肉に限らず、サルシッチャでもウサギでも馬肉でも、さっきみたいな猪でもOK。牛と豚を両方入れてもいいし、魚介系ラグーもおいしいですよね。タコとかね。多様な郷土料理を有するイタリアらしく、その土地固有のラグーが全土で作られています。

写真のこちらは、アルベロベッロの名店「Il Poeta Contadino」で食べたFerrazzuoli pasta with rabbit bolognese(€18)。ウサギーのラグーです。フェラッツオーリというパスタはスパゲティが2本くっついたみたいな、真ん中に筋が入ったようなカタチ。このソースもとてもおいしかったです(トッピングされたウサギのお肉は息子に独り占めされましたw )

■プーリア名物・ブラチョーレ(肉巻き)のラグー

肉の種類が自由なだけでなく、肉の形状も自由。「挽いた肉」にこだわる必要はありません。

たとえばプーリア地方の特徴的な具材(?)はブラチョーレ(インヴォルティーニ。肉巻き)。ブラチョーレは南イタリアの郷土料理です。薄切り肉に葉野菜やハーブ(セロリの葉っぱ、イタリアンパセリなどお好みで)とすりおろしたチーズなどを巻いてフライパンでしっかり焼き、その後トマトピューレで煮込みます。

ブラチョーレはそのままセコンドにできるし、肉の旨みがたっぷりあふれ出たソースはパスタと和えて食べられます。

プーリア滞在中、尊敬する「料理の師匠」がブラチョーレを教えてくださったんですが、「へぇ〜!こんなラグーソースもありなのか!」と感動しました。

これが師匠のブラチョーレ。シンプルだからこそおいしさがより実感できるっていう、イタリアらしい料理です。

ブラチョーレのおいしさがしみこんだソースはみんなで手打ちしたオレキエッテ&トロフィエにかけて。一石二鳥のブラチョーレ♡

■Ragu alla Bolognese(ボロネーゼ)のレシピをチェック!

お店によって、家庭によって、いろんなレシピが存在しそうなラグーですが、やはり日本で一番有名なのはボローニャ地方のRagu alla Bolognese(ボロネーゼ)でしょう。キドウエ家のレシピを確立する前に、もちろんボロネーゼもチェックしないと。

ボローニャのボロネーゼ(発音はボロニェーゼに近いです)は、ソフリットした香味野菜(玉ねぎ・にんじん・セロリ)、大きめに挽いた牛肉、赤ワイン、トマトピューレを煮込んで、仕上げにパルミジャーノ・レッジャーノをたっぷりかけます。

使うパスタはスパゲッティではなく、Tagliatelleタリアテッレ。本場では、小麦粉(デュラム・セモリナではなく軟質の小麦粉)と卵でつくる生タリアテッレが使われます。

●伝統的なRagu alla Bologneseのレシピ動画を見てみましょう。

Burro(バター)を使うのが北イタリアっぽいですね。南ならオリーブオイル。ラードもけっこう使われます。ソフリットにはオリーブオイルを使い、仕上げにバターを加えてコクを加える人もいますので、このへんはお好みで。

■Ragu alla Napoletana(ナポリ風)も要チェック!

続いて、Ragu alla Napoletana(ナポリ風ラグー)を見てみましょう。

ボローニャのボロネーゼとは少々違い、肉を大きめに切って強火でジューッと焼いてから赤ワインとトマトソースで煮込む、という作り方がナポリ風。

ちなみにナポリのラグーは「ナポリ風ジェノヴェーゼ」とも呼ばれます。普通はジェノヴェーゼというとバジルを使った「ペスト・ジェノヴェーゼ」ですよね。ナポリではラグーなんですって。ややこしい!けどおもしろい。

ナポリ風は香味野菜のソフリットは入れないことも多いですが、玉ねぎはたっぷり。肉は牛すね肉、サルシッチャ、骨付きスペアリブなど旨みの出るものをお好みで。日本だとおいしいサルシッチャが入手しづらいので、パンチェッタは必ず入れましょう。さきほどのブラチョーレはナポリでもよく食べるそうです。

●ごろっと大きいお肉を贅沢に使うIl ragù napoletanoの動画をチェック!

パスタの種類はボロネーゼほど厳密ではありませんが、太めの筒状パスタ、リガトーニなど、ショートパスタのほうが主流です。パッケリとかね。ソースもそうですが、パスタの種類も把握しきれないくらいに存在していて、地域性が明確なのもイタリアの特徴です。ホントおもしろい!

※そうそう、なんとサイゼリヤでも「ナポリジェノベーゼ」が食べられます(期間限定です)。エリコイダーリというショートパスタが使われています。玉ねぎの甘みが効いていてなかなか美味。ちょっと塩気が足りないけど、そこは足せばいいかな〜と。なにしろ安いので気軽に試せますよね。

そして、わが家のラグーソースが完成した!


肉の街のお肉屋さんで食べた猪ラグー。本当においしかった。
師匠に教わったブラチョーレのソース。目からうろこだった。

いろんな経験を通じて学んだこと、それは「ラグーソース=牛か豚のひき肉」じゃなくていいんだな、という、おそらくイタリア人にしてみたら「あったりまえじゃん!」なことでした。

とはいえ、猪やウサギを家庭料理で普通に使うのは東京ではハードルが高すぎますよね。

なので、わが家のラグーソースは牛や豚を使うけど、「ひき肉」ではなく、ゴロゴロのお肉を使うことにしました。

かたまり肉をハンドチョップするんです。 え?そんなのメンドクサイ!と思いますよね?

でも、実際やってみると、そうでもありません。
ゴロゴロ肉なのでそんなにがんばって小さくする必要はないし、あのおいしさを知ってしまうと、もうひき肉には戻せません。そのくらい、本当〜においしいんです。

ちなみにわが家では夫と息子がハンドチョップ係。夫いわく「よく切れる包丁を使うのがポイント」だそう。しっかり包丁を研いでから臨みましょう^^

牛の場合は赤ワイン、豚の場合は白ワイン。どちらにもパンチェッタは必ず入れます。大好きなプーリアの街に想いをはせながら、パスタは手打ちのオレキエッテ。

キドウエ家のレシピ、Orecchiette al Ragu、完成です。

●キドウエ家のゴロゴロ牛肉のラグーソース、レシピはこちらから!


追記:猪による里山被害が増えてるといいますが、日本でも猪ラグーが広まってほしいな〜。私も以前、いただきものの猪肉をラグーソースにしましたが、ホントおいしかった!